峯の浦 / 垂水遺跡(通称:裏山寺)

山寺の歴史を語るうえで外せない幻想的なスポット

山形で名の知れた観光地といえば“山寺”だが、さらに奥地に“裏山寺”と呼ばれるエリアがあるのはご存知だろうか。実は、裏山寺は通称で、正確には“峯の浦”が正式名称だ。その神秘的な空気を放つ“峯の裏”を巡る。

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慈覚大師円仁ゆかりの地




山寺は貞観2年(860年)に慈覚大師円仁が開山した天台宗のお山であるが、それ以前、慈覚大師はこの峯の浦で現在の山寺の構想を練ったと言われている。

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線路を越えた先……




裏山寺瞑想ツアーに参加される方も、個人で車で来られる方も、千手院から峯の浦観光は始まる。千手院観音の鳥居をくぐると、そこに線路が現れる。仙台と山形を結ぶ仙山線だ。線路をまたぎ、階段を登った先に千手院がある。



過去に何度も災害にあってきた寺院のため、創建の由来は確かではない。本尊は、慈覚大師円仁作とされている木像の千手観音菩薩立像だが、過去の火災で焼け焦げてしまった為、秘仏として安置されている。代わりに、現在は高さ1mほどの金色の千手観音立像が祀られている。

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案内板で全体像を確認




峯の浦は、歩いて1時間ほど。ただし、写真を撮ったり、ガイドの話を聞く場合は2時間ほどみていると安心。千手院から、墓地の脇を通り山道に入って行く。整備されていないので、ある程度の装備はしていかないと、この靴失敗だったとなりかねないので注意が必要だ。

また、千手院から垂水遺跡まで行き、また同じ道筋を戻ってくることで千手院前に車をとめておくこともできる。

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基本的には山寺の門前街のどこかのお店を利用しながら車を停めておき、千手院まで歩いていく方がおすすめだ。全体地図を拡大してご覧いただくとわかるが、車を山寺の門前街に停めておくことで、峯の浦のルート(地図上の赤い矢印)を全て歩くことができるからだ。垂水遺跡のみでは、峯の浦の20%ほどしか観光できていないといったところだ。

ルート場のスポットとしては次の通りの順序となる。千手院→垂水遺跡(垂水観音・垂水不動尊・円仁宿跡)→烏帽子岩→城岩七岩→修験場→五輪塔窟→本坊台座石→牛頭天王祠。

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空気感の変わる山道へ。




墓地の脇を通るので、なんとも言えない雰囲気だが、その先はさらに空気感が変わる。なお、山道入り口前や山道の中には、案内看板が設置さているので比較的迷うことなく進むことができる。



森林の中を歩み進めるので、森林浴をしながらゆっくり歩くことで心身のリラックスにもつながる。改めてご案内するが、山寺・立石寺のように整備された道のりではないので、靴などの準備はしっかりした方が安心だ。

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突如現れる奇岩と鳥居の造形美




山道の入り口から歩いて約15分。木々が途切れ、突如、蜂の巣場の巨大な岩肌が目の前に現れる。峯の浦(裏山寺)の写真でよく使われている、奇岩と鳥居だ。洞内の中に建つ木造の鳥居が周囲の自然にできた岩肌とマッチしている。

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山伏の居住修行




垂水霊域には、大正時代まで山伏がここで修行をする姿があったという。慈覚大師円仁が寝泊りをした修行宿跡もある。ここに来るとわかるが、岩肌に横一直線に溝が見られる。これは、雨水がそのまま下に流れ落ちないようになっており、先人の知恵と生きる工夫を垣間見ることができる。

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城岩七岩から望む田舎の絶景




多くの方は、先ほどの垂水遺跡を見たら同じ道を戻ってしまうが、それはもったいない。ぜひ、その先も歩みを進めてほしい。山道を進むと、城岩七岩という岩場が7箇所並ぶ場所に出る。ほとんどの岩場が危険区域となっているので実際に足を踏み入れることはできないが、1番最初の弓張岩はその岩場に立つことができる。それでもやはり危険なので、慎重に。

ただ、ここから眺める景色は日頃の喧騒を忘れ、ゆったり深呼吸したくなる。ここで瞑想をするのもいいかもしれない。ただ、そのまま眠ってしまうと本当に落下などの危険性もあるのでご注意を。新緑の時期、紅葉の時期はなおのことおすすめのスポットだ。

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異空間“修験場跡”




山道をさらに進むと、大きな岩ふたつに道を遮られる。かと思いきや、その間を登り通り抜けることができるのでご安心を。抜けた先には、広々とした空間が現れる。



ここが修験場跡だ。正確にここで何が行われていたのかはわかっていないが、庶民信仰のお祭りの広場とも言われている。男岩や女岩と名付けられた岩立ち並び、その岩に触れ、目を閉じると何か力を感じる……。

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崩れた五輪塔




主に供養塔やお墓に使われる塔の五輪塔がある。しかし、いずれも崩れている。持ち去られたり、自然と崩れたり、動物の仕業なのかは定かではないが、見る影もなくなっている。五輪塔に刻まれている年号の中に鎌倉時代の年号が書かれているものもある。

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山寺の歴史を感じながら……




現在の山寺の基礎や構想を練ったとされる峯の浦に身を投じることで、山寺観光がさらに興味深くなる。この大自然の中、慈覚大師円仁は何を思ったのか。1000数段の階段を登るだけではなく、ぜひこの峯の浦も合わせてハイキングしながら、ご自身の身体で感じ取っていただきたい。

全行程を終えると山寺の門前街に出てくるようになっている。そのまま山寺に登ってもいいだろうし、休憩がてらお店に立ち寄ってもいいだろう。人によって差はあるだろうが、峯の浦を歩くことで心地よい疲れと森林浴をしたことによる爽快感も味わえる。ぜひ、山形に来た際は訪れて欲しい。

注意事項 汚れてもいい服、歩きやすい履きなれた靴でおでかけください
お問合せ 山寺観光協会
TEL : 023-695-2816
アクセス 山寺駅から千手院まで徒歩約15分
駐車場 ※登山口入口(千手院手前)に数台停められるスペースがございます