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2025年春の新作「雪の贈りものツアー」を実施しました!
2025/05/03

2025年春の新作「雪の贈りものツアー」を実施しました!

こんにちは。TENDODAYS(DMC天童温泉)の青いガイドのまことです。


2025年4月30日と5月2日に雪の贈りものを味わうガストロノミーツアーを実施しました。


この記事では、このツアーの誕生までの裏側と想いを綴っていきます。

山形は言わずと知れた豪雪地帯。なんと、県内全域が豪雪地帯に指定されている珍しい県なんです。(他にも豪雪地帯のある県はありますが、県内全自治体が指定されているのは山形だけ)

そのうち特に積雪の多い26市町村が「特別豪雪地帯」に指定されている全国でも有数の豪雪県。


そんな雪が多い山形だからこそ味わえる、楽しめるモノやコトがあります。

たくさんありますが、その中でも朝日町の「雪りんご」、この時期山形の食卓に並ぶ「山菜」、雪解け水が流れ込んでできる絶景「水没林」これら3つは特筆すべき山形の宝。


知る人ぞ知るものとして毎年多くの方に愛されていますが、まだまだ知らない方も多いので我々のツアーを通じて身をもって体験していただければと思いました。

過去、雪りんごの企画をしばらくやっていましたが、ここ数年の秋のりんごの不作によりツアー実施できるだけの雪りんごを得ることができずにいました。


今年は絶対に雪りんごの企画をやりたい!と思っていたので、朝日町観光協会の担当の方にお願いをしていました。

ただ、やはり秋の不作が響きツアー用に確保が可能かなんとも言えない状況が続きました。

販売すれば確実に完売できるものを、売れるかわからないツアーにまわすのは朝日町としてもリスクです。

そのような状況ではあったものの私たちを信頼していただき、ツアー用にコンテナ提供してくださることを決断していただきました。

本当にありがとうございます!!涙

と、そこまではよかったもののツアーの日程調整で難航し、またツアー自体をどういうテーマでどういう内容にするかでさらに難航し、時だけが過ぎていきました……。

その時、山形でアウトドアガイドをしているガイド仲間のじゅんじゅん(YAMAGATA EXPERIENCE所属)が、飯豊町の白川湖の水没林でカヌーツアーをやっていることを思い出しました。


雪りんごと水没林、一見関係なさそうに見えますが共通するテーマがあったんです!!

それが「雪」です。

どちらも「雪」があるからこそ私たちが楽しむことができる。

そこに気付いた時、もうひとつのお宝を思い出しました。

「山菜」です。これも雪があるからこそおいしく食べることができるものです。

パズルのピースが揃っていく感覚で、「雪」があるからこそこの時期だけ楽しめる内容のツアーにしようと決めました。

そこからは各所にお願いをしながらツアーを組み立てていき完成させることができました!

ツアータイトルの「雪の贈り物」には、雪りんご・山菜・水没林は雪から私たちへの贈り物なんだという自然界に対しての感謝の気持ちを込めました。

そして、募集開始。

この時すでに実施日から約1ヶ月前。

ラフな内容でもなかったので、1ヶ月前募集開始で実際に申し込みがくるかとても不安でしたが、想像以上に反応をいただくことができました。

実際に予約してくださった方、お問い合わせをくださった方、本当は行きたいけど日程が合わなかった方、予約がいっぱいで参加できなかった方、予約したけどやむを得ずキャンセルになってしまった方……

通常新作のツアーってそこまで大きく反応が生まれることって少なくて、1年目の微々たる反応を見ながら、2年目以降に拡大していくような流れが多いんです。

そんな実情がある中、本当に嬉しい反応でした。

そして当日の本番を迎え実施した2日間。(3日間の設定でしたが、1日は催行中止となりました)

最初に、新設した天童温泉トラベラーズラウンジ(完成度6割)に集合し、ミーティングルームでブリーフィングを行いました。


ツアーの正式名称は、雪がくれた春の特別な贈り物「雪りんご・山菜・水没林」をめぐるガストロノミーツアー

この地域をめぐりながら自然や文化を理解することでより豊かな食の時間を過ごすことができるようになるイメージです。


天童を出発し、朝日町観光協会へ。


雪りんごはどのようにして出来上がるのかお話を伺いながら実際にその美味しさを味わいました。


4月中下旬に雪の中から掘り出した、ジューシーで甘みの増した雪りんごは格別です!

味わい方は、専用のマシンでプレスしながら絞り出した100%の生雪りんごジュースを飲む!


このマシンは朝日町にしかないので、ここで飲む以外にこの味を楽しむことはできません。


私自身、自宅のジューサーで雪りんごをジュースにしてみたことがありますが全然違いました。なんなら空気と一緒に混ざるので出来上がった時には色が変わっていて、やっぱり朝日町のあの機械じゃないとダメかぁーってなったことがあります。

初めて味わう方々の飲む前と飲んだ後の表情が忘れられないくらい素敵な笑顔になっていて、こちらも嬉しくなるばかり。

雪りんごは、道の駅でドライブスルー販売(事前要予約)でしか手に入りません。予約もすぐにいっぱいになってしまいます。知ってる人は本当に首都圏・仙台方面からでも予約して買いに来るぐらいです。

それ以外にゆっくり味わって手に入れる方法があります。

それがこのツアーに参加することです。

予約する、並ぶ、待つなども一切なくこの味にたどり着くことができます。

あ、でもツアーの”予約”はしないといけないですね!

雪りんごの後は、道路向かいの大丸屋さんへ。


割烹料理を出してくださるお宿ですが、予算に応じてランチも対応してくださいます。

特に朝日町の野菜をはじめ、地のものを提供してくださるので本当に嬉しいです。

今回は、「山菜」をメインにご用意いただきました。


が、メインどころか全て山菜を使った料理でした!


惜しむことなくふんだんに山菜を使っていただき、本当に美味しいものばかり。

うこぎご飯とか山菜の天ぷらとか最高です!


冬季間、雪が布団のように山々に覆い被さり、地面の中で眠る山菜の芽を守ります。

ミネラル豊富な雪解け水が山に、山菜の芽に染み込み、雪解けと同時に芽吹きます。

そうすることでエグ味が強過ぎない、ほどよく苦味のあるおいしい山菜が出来上がります。

僕は、山形に移住してもうすぐ10年になりますが、毎年この時期になると山菜を欲するようになってます。

特にコシアブラが大好きです!!

そんなこんなで、朝日町を後にして一行は飯豊町へ。

途中、白鷹町、長井市を越えていきますがどの町にも魅力があり山形は改めて宝の山だなと思いながら車を走らせます。

そして、白川湖の水没林に到着。


水没林は、飯豊山から大量の雪解け水が流れ込んでできる3月中旬〜5月までの期間限定の景色。

ここ数年で一気に知名度をあげてきています。

今回のツアーでは、水没林でカヌーに乗って湖上に出ます。

いいでカヌークラブさんが提供しているカヌーツアーです。


まず初めて乗る方が多いので最初は操縦が大変ですが徐々にコツを掴んでくると慣れてきます。


シロヤナギの木々の間をすり抜けたり、ガイドの話を聞いたり、1時間ちょっと湖上で水没林を堪能します。


30日は晴れ、2日は雨とコンディションが全然対極でしたがどちらも水没林の良さを引き出していました。


外のアクティビティなのに全天候型なのはすごいなと思いました!


カヌーの後は、ちょっとおやつタイム。

このおやつはサプライズでゲストのみなさんに提供したものなので、あえてここには詳細書きませんが、これも雪にまつわるもの。

雪がもたらす春の恵みはすごいなと1日を通じて体感していただけたと思います。

白川湖の大量の水が白川に放流され、やがて最上川に合流し、山形県内を縦断していきます

酒田で日本海に流れ出た水は、大海原への大航海にでかけます。

その水たちはやがて日本海か太平洋か東シナ海で水蒸気となり雨や雪となりどこかの地に降り注ぎます。

山形に戻ってくることもあるかもしれません。

このような自然界の循環の中で、「雪」が降り、そこに暮らしている人々の知恵と工夫で「雪 × ◯◯」のような食文化が形成されてきました。

雪りんごもそのひとつ。もちろん山菜もそうです。

水没林もただの景色で終わらせず、カヌーなどに乗ってよりその自然現象を体感できるようにすることで、私たちはワクワクの冒険ができます。

そういう体験ができるようになったのもいいでカヌークラブをはじめ地域の人たちのおかげ。


自然の循環を大切にしながら、その循環に乗って生きていく……そんな旅が人々の心を動かすんじゃないかなと思ってます。

来年もできるといいなーーー!

今年逃してしまった方々も来年はぜひご参加いただければ幸いです!

実施するためには、たくさん雪が降ること、秋のりんごが豊作なことが条件です!

それらを願い、自然を大切にしながら過ごしましょう。

3,000字超えた。また同僚に長いって怒られそうです笑

本ツアー開催にあたり、協力してくださった皆様、参加してくださったゲストの方々、本当にありがとうございました!


All words and photos by Makoto Suzuki — thanks for reading!